イノベーションと経験経済

本日は平井がお送りしています。
最近読んで面白かった本があります。
「発想する会社!ー 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法」発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法

どのような本かというと、知る人ぞ知る(僕もよく知らなかったのですが、)アメリカのデザインファームIDEOという会社がどのように新しい商品、デザインを作り出しているのかという過程を書いています。
実行するのは簡単ではないにしても一見の価値あり。例えば誰もが使っているマウスの原型を作り出したときや、新しいショッピングカートを作ったエピソードが載っています。
もうひとつ面白い本をご紹介。
「経験経済」
[新訳]経験経済

これも名著ですごく面白い発想が載っています。
「ディズニーランドに行く客は何にお金を払っているのか」という問いに対して、明確な答えを出している本です。もちろん答えはお土産のお菓子とかグッズとかではありません。「経験」だと言う事です。
実は「発想する会社!」の中に「経験経済」の話が出てきて、その下りで面白いものがありました。
IDEOの採用に関する項目です。以下一部抜粋
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IDEOには仕事を求める人々から履歴書が送られてくる。履歴書の山へのかつての対処の仕方はほとんどが意味がなかった。適当な仕事がないか、あるいは私たちの必要な条件に合わない多くの人々は、履歴書を提出してから約一ヶ月後に代理人の人から嬉しくもない断りの手紙が届く。しかし、これについて考えれば考えるほど、私たちが凶器を届ける使者みたいな気がするようになった。よい評判(さらに言えば雰囲気)を生むための最良の道と言えないのではないか。ひな形を変えて、イメージを変えたらどうだろう?
私たちはカラフルな葉書ですぐに返事をするというやり方を採用した。履歴書を受け取ったことを相手に知らせ、彼らが就職先としてIDEOを考えてくれた事への感謝の言葉を伝える事にしたのだ。カードはこんな不真面目な調子で始まる。
「ありがとう。私たちは次のものを受け取りました。」
そして、次に項目 ー手紙、履歴書、ポートフォリオ、駐車違反切符という項目まであるー が並べられ、実際に受け取った物に印がつけられる。
とはいえ、このカードは不真面目なだけではない。仕事を探している人々に期待を持たせる働きもする。
「私たちはすべての人の就職希望の問い合わせについて非常に綿密に検討しています。あなたの才能と弊社の求めるものが合えば、四週間以内に直接ご連絡します。(履歴書を検討する必要のある者のすべてが順次目を通すため、時間がかかる場合があります。)」
私たちは従来の決まりきった退屈なやり方をやめた。つまり不採用通知を出す必要がなくなった。
しかし、それだけではなく、このカードには相手に屈辱感を味合わせないため、次のような言葉も書かれている。
「今回、ふさわしい仕事がない場合でも、あなたの履歴書は保管しますー本当です。弊社の貴重な社員の中には、何度か志願した末に入社した者もいるのです!あなたの経験や資格に大きな変更があった場合には、どうぞお知らせください。」
私に言わせるとこれは、ささやかな「経験」である。
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転職活動を支援している僕としては、こんなささやかな経験を行ってくれる会社はすごく印象がいいと思います。
就活をしているとき、1次試験に落ちると連絡が来ない会社はたくさんあったという印象があります。これはその会社にとっては些細な事、効率化を測ったことかもしれないですが、これが結構傷つく。
そういう細やかな事に気がつき対処してくれる会社が長い目で見れば評判をあげ、口コミで広がり、信頼してくれる会社になるのではないでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

平井 雅史

アトラエに2009年新卒入社。 新規事業→Greenクライアントサポート部署をまたぎ、多くの企業様の採用課題に対してアプローチをしている。 趣味はゴルフ、子育て、書道。