あのアニメで学ぶ Teal 組織

どうも。4年目データサイエンティストの杉山がお送りいたします。

最近真面目な記事ばっかり書いてたので、ちょっとふざけつつ、でもやっぱり真面目なことを書いてみようかと思います。

ありがたいことに、弊社アトラエは、働きがいのある会社ランキングで1位を受賞する事となりました。
GPTW: https://hatarakigai.info/
Atraeのページ: https://atrae.co.jp/news_gptw2019.html

そして、フラットや Teal といえばアトラエという紹介を頂く機会も増えました。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO47735030U9A720C1LKA000?s=3

そんな会社で働いている私から、「つまり、要はどんな感じなのよ?」という話を、とある国民的アニメになぞらえながら、ふわふわ説明してみようかと思います。

Teal 組織ってなんだ?

Teal 組織については、こちらの書籍を読んでいただければわかるかと思います。
ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 – https://www.amazon.co.jp/dp/4862762263

が、長い(約600ページ!)ので、ざっくりと説明しようかと思います。

いろいろな組織の形

この本の中で紹介される組織の形は、色になぞらえて、「無色」「マゼンダ」「レッド」「アンバー(琥珀色)」「オレンジ」「グリーン」「ティール」とあります。それぞれ、、、

  • 無色:組織以前。原始時代。ただ狩猟採集し生きていた。組織という概念はない。
  • マゼンダ:神秘的組織。まだ、大きな組織になっていない。血縁 + α 程度のサイズで、因果関係の理解が浅い。何が起こるにしても「神秘的」だと解釈する人々。
  • レッド:ギャング組織。殴って従わせる。強いものが強く、絶対的な権限を持つ。「ヤクザ」とか悪い意味での体育会系組織がこれに該当。
  • アンバー:階層型組織。ガチガチのヒエラルキー。上意下達。身分がすべて。官僚組織や、学校、医療機関など。
  • オレンジ:達成型組織。つまり、成果を出すことが偉く、それ以外はどうでもいい。研究職など、身分や年功、古い価値観や決まりきったやり方より、成果が出ることを優先。
  • グリーン:家族的な組織。成果へのこだわりからの逆振り。みんな平等で、等しい権利を持つ。家族のように繋がり、成果より調和を重視する。
  • ティール:進化型組織。個々がそれぞれ意思決定しながら有機的につながって、自らの存在目的の実現に向かう組織。生物的な組織。

と、こんな感じです。

正直良くわからないかもですが、例えば、最近ニュースを賑わせている吉本興業や、ちょっと前に賑わせていた日大の運動会のおじいちゃんたちがレッド。
最近、日本の研究者たちの環境がガンガンぶっ壊れているのは、オレンジ的な研究者組織が、アンバー的な官僚組織に「管理・支配」されているからかな〜とか。
グリーンは、意識の高まりが高まりきった先に、競争を嫌い、やや理想主義的に、平等や博愛を謳っている人々とか。ゆとり・悟りっぽい感じです。(たぶん(笑))

そして、 Teal とはなにか、それは、とあるアニメを参考にしながら、見ていきたいと思います。

アイカツ!はいいぞ!

今回取り上げるアニメはアイカツ!です。アイカツ!が何かを語りだすと長いのですが、要は、

  • 平日夕方の18時くらいに放送している、女児向けの王道アイドルアニメ
  • リアルな人間の黒い感情や、ベタベタした人間関係はいっさいない、キラキラしたきれいな世界
  • そんな世界で、主人公たちがひたむきに努力し、アイドルとして成功していく

そんなアニメです。

普通の大人の皆さんは、つまらないしくだらないと感じることでしょう。現実に存在する闇の部分は一切なく、キラキラ頑張っていたら成功していくなんて、そんなの現実にはありえない。子ども向けのお騙しのアニメだと。

ですが、今日私が言いたいのは、これこそが Teal 組織のあり様を捉えていて、そして、そんな職場が、働きがいのある会社ランキングで1位の会社に実在するというお話です。

アイカツ!で見る Teal 組織

ここからは、 Teal 組織の中に特徴的に現れる概念と、アイカツ!のワンシーンを対応させながら、 Teal 組織について説明してみたいなと思います。

※アイカツおじさん、おばさんへ:スターズやフレンズも全部まとめて「アイカツ!」って書くけど、許してね!

アイカツ!のセルフプロデュースと、Teal の自主経営

アイカツ!の世界では、登場人物のアイドルたちはセルフプロデュースするように言われます。セルフプロデュースは2話には出てくる概念で、本作で中心的な役割を果たします。具体的は、どんな服を着るか、どんな歌を歌うか、どんなオーディションに出るか、どんなライブを開催するか、全て自分で決めるし、そして運営もするということです。
(作中では、数万人収容する一大イベントの、企画、演出、新曲作成、衣装作成、グッズ作成、そして果ては会計までを、アイドルたちが協力して実施します。)
おそらく、子どもたちへのメッセージとして、自分のやりたいことを見つけて、自分なりに頑張る、そういう自主性を持ってもらいたいとか、みんなで協力して一つのことを成功させる姿を見せてあげたいとか、そういうことなんだと思います。

まぁ、なんとも子ども向けアニメっぽいと言ってしまえば、それまでなのですが、このストーリーが自然に見える背景に、1つ秘密があります。作中でアイドルたちが何かを考える際にの起点が「お客さんに笑顔を届けたい」「ファンのみんなに喜んでもらいたい」「あの子が輝くためには何をしてあげられるだろう?」であるということです。もっというと、だいたいアイドルたちが思い悩んでいるときは、この思考から外れているときで、「本当に大切なもの」に気づいたときに、彼女たちは確実に成長していきます

さて。話を戻して言い換えると、アイドルたちにすべての権限が与えられている一方、各アイドルたちは、「自分が自分が」と自己中心的な考えに陥ることなく、自分よりもっと大きなもののために考え動いているということです。

これはまさに、 Teal 組織における「自主経営」の肝です。

Teal 組織は、特徴として、フラットであります。つまり、上司部下のような階層構造はなく、命令・服従のような権限関係もありません。そこにあるのは、助言と、意見の食い違いを生産的に解決する仕組みのみで、本人にかかわる意思決定は最終的にはすべて本人が下します。

これは、何でも自分の思い通りにできる従業員にとっての理想郷であるわけでも、管理職にとっての地獄を意味するわけではありません。文字通りに、全員に意思決定権限が与えられている(というか、奪われていない)状態で、なすべきことを成し遂げるため、全員が真剣に考え、そして協力して動いていく組織だということです。

次のお話で、これを可能にする、個々人の考え方にもう少し迫ってみようと思います。

アイカツ!の2話、19話と、Teal のエゴを抑えて全体性を得ること

アイカツ!界にも、非常に厳しい現実があります。アイドルたちは皆同じ学園に通う友達です。一方、アイドルなのでオーディションに出るわけですが、誰かが受かると誰かが落ちるわけです。「キラキラしてて子どもっぽい」アイカツ!の世界では、この現実をどう乗り越えるのでしょうか?

過酷な競争を見てきた先輩アイドルからの厳しい一言。

この答えが明確に示されているのが2話と19話で、特に19話は私の人生を変えた1話です。(その話はまた今度)
2話にていきなり、主人公の星宮いちごと、その幼馴染で大親友の霧矢あおいが、オーディションで対決します。どちらかしか受からないことを告げられたいちごちゃんはこう言います。

「頑張ろうね、たとえどちらかしか受からないとしてもさ!」

結局、主人公のいちごちゃんは負けてしまいます。ですが、結果を聞いてまず言ったのは、「おめでとう」という言葉で、この表情です。

19話。今度は、藤堂ユリカという別のアイドルとの対決オーディションで、またしてもいちごちゃんは負けてしまいます。ですが、「このオーディションが似合うのはユリカちゃんの方」「私より頑張ってたし、ユリカちゃんが受かって嬉しい」という趣旨のことを言います。

皆さんは、自分が本気で全力で努力した競争で負けて、同じことが言えるでしょうか?

アイカツ!の世界観では、必ずしも不思議な発想ではありません。この子達はそもそも「自分が」「勝つ」ために努力をしているわけではありません。あこがれの人に近づきたい、お客さんに笑顔を届けたい、そのために努力をしています。なので、勝負に勝つか負けるかには、あまり大きな意味がないのです。

Teal の話をしてみましょう。そもそも、なぜ競争に勝たないといけないのでしょうか?
競合相手ならまだしも、ときによっては、社内の人と競うこともあると思うのですが、これはなぜなのでしょうか?
Teal の本によると、それは、各人が「自身そのものの価値」を認めておらず、「対外的な肩書」や「競争の成果」を自身と同一視しているからだといいます。つまり、自分が自分を認めてあげるために、何歳でどの役職になったとか、誰に勝ったとか、いくらもらっているとか、そういう物質的なものを心の支え、というか、心の中心に置いているフシがあるということです。

これでは組織はうまく回りません。なぜなら、同僚に協力しないほうが良い合理的な理由が存在するからです(勝ちたいので)。なので、チームワークを発揮するためには、毎回、葛藤を経る必要があります。それでは疲れてしまいますし、チームワークを発揮し続けるのは至難の業ですね。

Teal 組織では、このような、悪い意味での「エゴ」が放棄されています。(そういう訓練や習慣があったりするみたいです。)各人が、そもそも、自分自身に価値があるということを受け入れています。その上で、肩書や勝利によって作られた仮面を捨て、本当に自分が成し遂げるべきことに集中します。誰かと競争して勝つ必要は、もやはないのです。

Teal 組織の話で非常に面白いと思ったのは、「競合」という概念がもはや存在しないということです。 Teal 組織は、そもそも、勝利のために行動しているのではなく、なすべきことをなすため、自分たちが良いと思う世界を実現するために行動しています。なので、同じ市場で活動している同業他社は、もはや敵ではなく、似たようなことを目指す仲間と捉えることも可能です。
何をきれいごとを、、、と思うかもしれませんが、実は、私のいる事業 wevox のメンバーの会話の中で、この発想がたまに聞こえてくることがあります。 wevox には、「 the 競合」と呼んで差し支えのないサービスがあるのですが、メンバーのひとりから「僕らはこんなところで戦ってる場合じゃない、両方とも良いサービスなんだから、お互いの良いところを活かしながら日本のエンゲージメントを高めていくべきなんだ」という趣旨の発言があったことがあります。その場にいたメンバーの過半数もその考えに共感していたと思います。
当時僕は、「この人何言ってるんだどこからそんな発想が出てくるんだ!?」と心底驚いたのですが、今にしてみれば自然な考え方だったかもしれません。

考えてもみてください。もし私達の目的が、例えば、自分達が理想的だと思っている世界の実現にあるのだとすると、自分達よりうまくそれを実現し、多くの市場シェアを取る会社が現れたとしたら、それは喜ぶべきことではないでしょうか?
(いや、もちろん、生活は困るので、困るっちゃ困るのですが(笑) そもそも、自分達のサービスも素晴らしいですし、更にもっと素晴らしくしていくので、今後も受け入れられるものになると思いますが(笑))

でも、そういう思想なのです。そう考えると、冒頭の、「頑張ろうね、たとえどちらかしか受からないとしてもさ!」や「このオーディションが似合うのはユリカちゃんの方」「私より頑張ってたし、ユリカちゃんが受かって嬉しい」も理解できるのではないでしょうか。
そういう考え方をするの人の集まりであれば、それは、各人が意思決定するという状態でも、良い形で組織は回りそうじゃないですか? というか、自主経営でこそ、組織が活き活きと躍動すると思えませんか?

ちなみに、話は変わりますが、桜庭ローラというアイドルがいます。この子は、唯一無二の大親友(主人公)に徹底的に負け続け、ストーリー後半でも海外からやって来るアイドルにもこてんぱんに負けます。本気でかわいそうなくらいひたすら負け続けます。(しかも自分の一番の得意分野で!)そんな彼女が、ひたむきに努力し、努力し、努力し、でも、先述の両者に絶対に勝てないことを何となく直感しながらも、それでもステージで頑張り続ける姿は、
(ここで言葉を失って何も書けなくなりました。ぜひ「アイカツスターズ!」を観てみてください。なにか感じるところがあるかと思います)

アイカツ!の藤堂ユリカと、Teal の全体性を取り戻すための努力

さて、先程はあまり触れなかった、全体性の話に移りたいと思います。

藤堂ユリカは、19話でいちごちゃんを破るアイドルです。幼少期から、友人と遊ぶより、本の中に自分の世界を見出すタイプで、好んでゴスロリ系衣装をまとうアイドルです。

自らを600年以上生きている吸血鬼の末裔と称し、凛としてでひたむきにアイカツするアイドルなのですが、それは人前に出てくるときだけの姿。自室では、ただ本が好きで、内気な少女に戻ります。(しかもなんと好物はにんにくラーメン)

しかし、普段凛としている吸血鬼の末裔が実は地味で内気な少女なんて! しかも、にんにくラーメンを好むなんて! 当然、スキャンダルとしてすっぱぬかれてしまうわけです。

これを見たユリカ様は、それはそれは落ち込んでしまいます。というのも、ユリカ様はもともと、多少なりとも自分にコンプレックスがあり、学園内の誰にも素の自分を晒していなかった程です。アイドルとしての表の姿は、そんなユリカ様が抱く理想の姿だったのですが、誰にも見られなたくなかった素の姿を抜かれてしまったのです。

しかし結局、ユリカ様のファンが離れることはなく、皆、普段の姿も、吸血姫の末裔の姿も、ともに受け入れ、むしろより好きになるくらいでした。(私もその一人です)
地味で内気な少女でもなく、吸血姫の末裔でもなく、その両方が行ったり来たりしていること自体がユリカ様であり、それをすべてさらけ出すことができた、そして、そのありのままの姿をみんな受け入れた、という、そういうお話です。(そして、ユリカ様は、作品通して随一のいじられキャラとしても愛されていきます)

Teal での全体性は、まさにそんな感じのお話です。
普通、現代人は、いろいろな仮面をかけかえながら生きていると思います。家での自分、実家での自分、職場での自分、趣味コミュニティでの自分、同窓会での自分……。会社の中でも、いろんな自分が出現しては、それぞれ違うことを言い、そしてそれにかなり混乱させられている気がします。例えば、チームワークを重んじる自分と、社内でトップになりたい自分、この2人の意見は異なることも少なくないでしょう。

ですが、さっきの話でもあったように、自分より大きな目標(理想と思う世界の実現など)のために、エゴを抑えて、自主経営で運営されている組織では、もはやこの仮面の付替えは必要ありません。同僚は、時と場合によってチームメイトになったり競争相手になったりする存在ではなく、常に仲間であります。それは、自分についても言えることです。あの立場の自分、この立場の自分、そういう行き来をすることなく、同じ目標を目指す一人として、自然に振る舞えるようになります。

そうなれば、もはや、公私の厳格な区別すら必要なくなるでしょう。というか、そもそも、そんなものはあるんでしたっけ? Teal 的な発想のもとでは、そもそも各人に成し遂げたいこと、大事にしたいことがあり、それと会社の成し遂げたいことが一致しているから、だからその会社にいるという感覚になります。
(※それはもちろん、誰でも生まれながらに明確に持っているものではありません。 Teal 組織では、徹底的に自分を見つめ直して発見していく仕組みやプロセスを持っているのだとか。みんなそれなりに努力して見つけるみたいです。)

アトラエ的には、まさに Atrae standard (行動理念)の「自分とアトラエの重なり」ですね。

こうなるといろいろな歯車が噛み合って動き出します。例えば、もはや仕事は、食をつなぐための苦役ではなく、自分のやりたいことの実現のための行動になります。こういうイケイケな効用以外にも、例えば、短期的に家族との時間を優先したい場合もよく働きます。もともと、同僚としてではなく、人間として付き合っているので、家族との事情を話しやすいし、された方も受け入れやすいし、そしてたいてい、家族との時間を優先したい人のために短期的に頑張ることは、当たり前にやりたいことでもあったりするのですから。

やや話がそれましたが、つまり、会社にいる人を、「会社にいる人」「仕事上の仲間」と捉えるのではなく、ひとりの人間として捉える。また逆に、自身も、「会社に来ている自分」「仕事上の自分」として振る舞うのではなく、ひとりの人間として振る舞う。そしてそれを互いに受け入れるということです。仕事と自分を分断することなく、本来は一つだよねというのが「全体性」の肝です。
これは、必ずしも、プライベートがなくすべてをさらけ出しているベッタベタの集団を意味するわけではありません。たとえば、「仕事の仲間」と捉えている人がミスをしたとすると、不快に感じる事があると思います。なぜならば、「仕事の機能を果たすべき存在」が、その機能を果たしていないからです。新品のイヤホンから音が聞こえないことに似ています。一方、そこにいる人をひとりの人間と捉えて接していれば、なにかのミスも、「まぁ、人間にはそういうときもあるよね。今日は助けてあげよう」という気持ちのほうが自然に湧き起こるのではないでしょうか。こういう感覚が近いです。 そして、もしそういう状態を求めるのであれば、日頃のコミュニケーションの中でも、「仕事上の機能を果たす存在」以上の部分にふれあう必要がありますね、ということです。

アイカツ!のラブミーティアと、Teal の存在目的に耳を傾ける

さて、アイカツ!にはまだまだすごいアイドルがいます。ラブミーティアというコンビ(作中ではフレンズ)を組む、明日香ミライさんと、神城カレンさん。このカレンさんがアイカツをするのは、

世界中のあらゆる人々の垣根を超えて愛を届け、全ての心を温めてあげられる

アイドルになるためです。どっかの会社の Vision 「世界中の人々を魅了する会社を創る」と激似ですね。

さてさて、カレンさんの場合、日本国内のトップアイドルとして走り抜いた先に、「世界中にアイカツができる学校を建てる」ため、コンビだったラブミーティアの活動を止めて、世界中を飛び回る道を選びます。少し想像してもらえればわかると思いますが、数年にわたって互いに高め合い、トップを走り続けてきた二人ですから、離れたくないに決まっています。作中でも、非常に、寂しそうな、せつなそうな、そういう表情を浮かべることが何回もあります。それでも喧嘩するでもなく、険悪になるでもなく、むしろ通じ合う二人なので、ミライさんはカレンさんを止めるでもなく、涙を見せるでもなく、応援して送り出します。これもそんなに簡単にできることではないと思います。

アイカツ!の良さが詰まっている、そして、奇しくも Teal の精神と同じ方向を向いている、このお話を掘り下げてみようかと思います。
今回の話は、ビジネスの用語で言えば、世界中にアイカツ学校を作るという新規事業が企画され、既存事業を放棄してでもそちらの遂行を優先し、仲間たちは(少なくとも物理的には)ばらばらになりそれぞれの道を歩みだしたという感じでしょうか。そして、その遂行に際して、強硬な抵抗を受けることなく、むしろ応援されて旅立ったということになります。なぜ、こんな事が可能なのでしょうか。(「子ども向けアニメだから」じゃないですよ!)

その理由の一つが、二人が、存在目的に耳を傾け続けていたからだと思います。この二人も、当たり前ですが、気持ち的には、一緒にいたいと思っていたはずです。ですが、それを目的に活動していたわけではありません。度々話してきていますが、自分達が理想と思っている世界の実現のために活動しています。これがまさに、「存在目的」というものです。

ビジネスの場面では、存在目的は、少なくとも2つ存在します。会社の存在目的と、自分の存在目的です。 Teal 組織の実現は、全組織的に実現する必要があります。今までの話が実現するには、会社の存在目的が、「利益を出す」「株主価値の向上」「市場での勝利」「イノベーション」のどれでもなく、「自分達が理想と思っている世界の実現」である必要があります。そしてこれが、紙に書かれた絵空事ではなく、実際にそこで働く人々の心に浸透している必要があります。これをどう実現するかを書きだすと、ただでさえ長いこのブログがもっと長くなるので割愛しますが、そういう組織だったとしましょう。少なくとも、ベンチャー企業なんかでは、こういう状態の組織は多いのではないかと思います。

では、存在目的に耳を傾けるとはどういうことでしょうか。これは、そもそもこの存在目的は達成する価値があるだろうかと内省し、その存在目的が達成された先にはどういう状態があるのかを想像し、この状態に至るためには自分達がやっていることは正しいのか、または、他にやらなければいけないことはないかを考え、また、新しいアイデアが出てきたときに、その実行が本当に存在目的に寄与するかを考える。などを含む、一連の思考様式のことです。ハードですね(笑)
これを、自分の会社、事業に対して、全員がやるということです。まさに、経営者の仕事そのものですね。(「自主経営」という言葉が、またもうちょっと重みを持ったのではないでしょうか?)

もう少し言うと、これは、会社の存在目的に耳を傾けているだけなので、まだ片手落ちです。これを、自分の人生に対しても実行します。なんと、 Teal 組織には、そういう習慣があるらしいのです。(放置されてる人間が誰でも自発的に始めるようなことじゃないので、一定の努力は伴うのですが、一定の努力とともに、実現することができるようです)
(そして、その両者の目的の共通部分を見出すことで、全体性を見出したりするわけです)

さて。今まで言ってきたように、自主経営している人の集団が、エゴを捨て、全体性を取り戻し、存在目的に耳を傾けていたとしたら。冒頭のラブミーティアのミライさんとカレンさんの行動も理解できる、、、もとい、非常に自然な行動だと理解できるのではないでしょうか。ミライさんは世界中のあらゆる人々の垣根を超えて愛を届け、全ての心を温めるために本気で考え抜いた結果、世界中にアイドル学校を創るという事業を思い至ります。そして、それをカレンさんに共有します。カレンさんもミライさんがやりたいことを理解していたので、この活動がカレンさんの存在目的に資することを直感し、そして、感情としては非常に寂しいし離れがたいものの、応援して送り出す。そういうお話です。
(それでもやはり、国内トップアイドルの2人がアイドル活動から距離を置くのは、なお胆力が要ることかもしれません。あの二人はすごい!)

実際に、ミライさんは、「世界中のあらゆる人々の垣根を超えて愛を届け、全ての心を温める」ために何ができるのか、何はしないほうが良いのかを思い悩む場面がいくつもあり(耳を傾けている!)、そしてその姿勢をカレンさんが理解している(全体性!)という描写がいくつもあります。基本的にはお天気なアイカツ!のストーリー進行の中に、ちょっとシリアスな場面が挿入され、そして怒涛の勢いで回収されていくのは、なかなか観ていて面白いと思います。

Teal 組織をやってみる – Let’s アイカツ!

長い記事も個々で終わりです。いかがでしたでしょうか。

アイカツ!を観た後に Teal を読み、そしてまたアイカツ!を観ていると、通底する精神に似ているところが自然と感じられるのです。これが、意外と。
もともと、人間的にかなりヤバい奴だった私が、アイカツ!に感化されて自己を見つめ直し、そして今この会社にいるのは、意外と偶然じゃなかったのかもしれません。

さて、何となく伝わったでしょうか。要は、「子ども向けアニメみたいにキラキラで頑張れば成功する」ような、バカみたいな、でもあれば理想的な職場というのは、どうも存在するようです。
それが、 Teal とアイカツ!の関係を通して伝わっていればいいなと思います。

一応、公平性を期すために書き記しておくと、アトラエの隅から隅まで、全員が全員 Teal なわけではないと思います。私の周りはできればこれで行きたいなと思い、日々の行動を積み上げている段階です。そもそも、世界中の人々を魅了する会社を創るために、組織として意欲ある人が無駄なストレスなく働けるチームを追求しているだけなので、 Teal になりたいわけではありません。
また、私も最初の1年とちょっとは、研究の世界からビジネスの世界への移行にかなりもがき苦しんでいたので、上に書いたようなキラキラな状態とは程遠かったです(笑) 人間の調子は上下するものなので、人によってはいろんな状態がありえると思います。
ですが、それでもなお、アトラエは胸を張って良い組織だと言い切れる場所であり、そして、 Teal で説明がつく要素がいくらかあるのもまた事実です。そんな感じです。

実践してみたいと思った方は、分厚い Teal の本を読むか、アイカツ!を見てみてください。
( dアニメストアで配信されています。関東圏なら、アイカツ!の 1st season が再放送されているので、それでも良いかもです。最新のアイカツ!のアイカツフレンズ!も絶賛放送中です。ちなみに、アイカツ!でなくとも、プリキュアとかでも良いと思います。特に、昨年の「HUGっと!プリキュア」は、大人が見ると色々考えさせられて大変なことになると思います。)

実践はちょっと大変です。なぜならば、少なくとも自分は、子ども向けアニメの中の登場人物ばりに人間力を磨かないといけないのですから。ですが、挑戦の価値はあると思います。
Teal 的なプレイヤーでありたいという覚悟と希望がある方は、私で良ければいつでも話に乗りますので、下記のリンクから好きなように私にコンタクトを取っていただければと思います。
(気が向いたらうちの求人にも apply してみてくださいね〜。 As always, we are hiring! ですので(笑))

以上。4年目データサイエンティスト 5年目アイカツおじさんの杉山がお送りしました。
それでは! Let’s アイカツ!よいアイカツライフを!

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ABOUTこの記事をかいた人

杉山 聡

博士(数理科学) 2016年10月から Atrae に join し、 Green の marketing を担当した後、現在は wevox の data scientist として従事。 北里大学の島津研の特別研究員としても活動しており、 work engagement 関連の研究に参加している。