組織課題のほとんどは、きっと”誤解”だと思う

今回は新卒5年目の清水がブログを担当します。
僕は、採用担当など、入社以来アトラエの自社採用に関わることが非常に多かったのですが、4年目に異動して以来wevoxのカスタマーサクセスとして働いています。
自社の組織づくりに向き合ってきた人間が、現在はたくさんの企業様の組織づくりを支援する立場を担っています。

異動してきてから1年も経っていませんが、そんな短い期間の中でも強く感じ続けていることについて、今回は書こうと思います。

タイトルの通りですが、「組織課題のほとんどは、きっと”誤解”なんだ」ということについて、です。

みんな、より一層イキイキと働きたいと思っている。

wevoxのカスタマーサクセスという職種柄、いろんな立場の人と組織について話すことが多いです。
人事さんはもちろん、経営者・役員さん、マネージャーさん、そして現場社員さん、と本当にいろんな人と話します。
何かしらの問題意識があってのwevox導入となるので、「どんなことに悩んでいるのかと、何に困っているのか」はよく伺います。

経営者さん「より働きがいある会社にしたいんだが、現場はなかなか会社のことを理解してくれない。」
人事さん「社長は頑固で、なかなか現場のことを分かってくれなくて。。。マネージャーはマネージャーで、組織づくりに興味なんて持っていないし。」
マネージャーさん「現場の社員は正直何を考えているのか分からなくて苦労してるよ。日々忙しいし、人事がもっと組織周りのサポートをしてくれたらな。」
社員さん「自分たちの意見を誰も聞いてくれないし、口だけで何もしてくれないんだよ。」

それぞれ話している内容は異なるように聞こえますが、実は根本の部分は一緒なんじゃないかと感じています。

どの人も、
「今よりも、もっとイキイキと働けるチームにできたら良いな」と思っていますし、
「お互いにもっとうまく伝えられれば、今よりも前に進ませることができる」
と思っている、ということです。

当然の話ですが、日々のたくさんの時間を費やす仕事をもっとイキイキとできるのであれば、誰にとっても願ったり叶ったりなことです。
繰り返しですが、みんな楽しく働きたいと思っているんです。どんな人に聞いても食い気味で「当たり前だ」と答えられるくらいに。

でも結果として、日本で意欲的に働けている人は全体の6%だということも事実です。
目指している状態はみんな同じ方向なのに上手くいかない。組織づくりとはそれほどまでに難しいということです。

全ては”誤解”だと思う。

では、なんで上手くいかないのか。自分なりにもよく考えるようになったのですが、
それはきっと誰かのせいとかではなく、背景にある組織のメカニズムやチーム作りのやり方に問題があるのだと思います。
もう少し補足すると、“誤解が重なり合いやすい”という「集団の性質」のせいだと思っています。

人は何かの理由・目的があって集団を作りますが、集団を作ると必ず生まれるものは「情報の差」「認識の差」です。これがとにかく厄介です。

一重に「情報の差」と言っても、質と量のどちらでも差が生まれます。
基本的には集団内で役割分担をするため、日頃見ている光景や触れる情報は異なります。(情報の質の差)
更には、その役割分担の影響で、情報が集まりやすい人と集まりにくい人も出てきます。(情報の量の差)

そもそも日々膨大な情報が行き交っているため、細かなものを含め、全ての情報を把握できている人なんておそらく存在しませんし、
時に隠される情報もあれば、脚色された形で情報は形を変ることもあったりするくらいです。
自分の見えている/理解している情報の中でしか物事を判断していくので、持っている情報が全然違えば判断する内容も異なるのも当然です。
(情報量の違う推理ゲームをやっているかのよう。。)

そして、この情報の差に拍車をかけるのが、「認識の差」です。(こっちの方がもっと厄介かも)
たとえ脚色のない正確な情報を得られたとしても、その情報の捉え方・感じ方は人によって大きく異なるものです。

人は異なる価値観を持っています。
それが故に”正義”の基準は人によって異なりますし、仕事に求めることの違いもたくさんあります。
しかも、その時の精神状態によっても、モヤモヤ・イライラしたりするラインも異なってしまいます。

こういった情報や認識の差から、少しずつズレが生じてくるのだと思いますが、
近しい空間・業務内容の中で日々過ごしている現場社員間さえ、問題だと思うことも異なるくらいなので、役職や役割の異なる人物間となると、もはや全然違う問題を捉えていることも容易に起こってしまうはずです。

みんながそれぞれの正義の中で主張をしていくものの、前提となる情報がずれた中での主張の交わし合いは、平行線をたどるねじれ国会のような状態を作ってしまうものです。(誰も悪意なんてないのに)

こんなねじれ国会状態が続くと
・話を聞いてくれない
・理解してくれていない
・やる気がない
といった、誤解が生まれてきます。

交わることが難しい前提の中での主張のし合いは、お互いに傷つき疲弊していく結果になることも多いように思います。
誰も悪意なく、もっと良いチームにするためだと思って努めているのに。

こんな場面に遭遇すると、目隠ししながら手を繋ごうとしているような印象を受けます。

どこに手を伸ばせば良いかわからないし、差し出し方を間違えると傷つけちゃうかもしれないし自分も傷ついちゃうかもしれない。
それが怖くて誰も手を差し出しあえなくなっていくんだろうなと思います。
人間は想像できる力に長けている動物だからこそ、目隠ししてると生存本能から保守的な想像をしてしまって、悪い方向悪い方向にものを考えてしまう。それはきっと仕方のないことです。人間の生物的な要因なんでしょうし。

極端かもしれないですが、僕はほとんどの組織課題の根本になるのが、こういった”誤解”が生まれやすい「集団の性質」によるものだと思っています。

お互いを理解し、粘り強く対話し続けることが効いてくる

そんな「集団の性質」がある中で、どう組織課題を解決していくか、というお話ですが、
これをしたら、こんな体制にしたら、などの「これさえやれば課題解決できます」というような、全てのチームに共通する特別な万能薬はあまりないように感じます。会社によって事情は異なりますし。1ヶ月たてばチームの状態も変わり、問題も増えたり減ったり移り変わったりするくらいです。

ただ、自分たちの問題・課題を解決しやすくするようなチームを作るための「習慣」はあると思っています。
それが、お互いのことの理解と、情報の整理・解釈をし続ける「対話」の習慣です。

見えている景色(情報)が異なるなら、共有しあってすり合わせる。
感じ方(価値観)が異なるなら、これも共有しあってすり合わせる。

「なんだ、そういう背景だったのね!」と相手の主張の背景を理解できれば、きっと共通認識を取りやすくなっていくものだと思います。すごくシンプルでものではありますが、効果はきっと絶大です。
 →漫画や映画とかで、主張が理解できないゴリゴリの悪役のことも、過去編の話を見てからは、ちょっと共感できてきて悪いやつに見えなくなってくる現象と近い?。

単純ではありますが、全ての根本が「誤解」なのだとすると、生まれてくる課題に対処療法的にアプローチするのではなく、その誤解が生まれる元凶を潰しに行くことが、やはり重要です。
簡単には直しづらいからこそ、まずは誤解の生まれにくい習慣を作ることからだと思います。

メンバー一人ひとりが、
「みんなもっと良いチームになったら嬉しいと思っている」という前提に立って、誤解の起こっている前提のズレを理解しに行くことができるようになれば、そこにはきっと今とは異なるチームが存在していると思います。
いきなり全員が完全に変わることは難しいですが、まずは自分から少しずつチームメンバーと対話をしようと寄り添っていくことに終始するんだろうと思っています。

手始めに毎週末の10分くらいでも良いです。
・今週の自分は相手と対話をしに行けてていただろうか
・チームの中に、解決していなさそうな”誤解”はないだろうか
これだけ考えるだけで自分の行動も変わっていくと思います。これ自体は”塵(ちり)”ですが、きっと山になっていくはずです。

と、こんなブログを書きながら、自分自身もっと周りのメンバーと対話しないとなと反省しています(笑)。
読んでいただいた方が、少しでも「対話」してみようかなと思ってくれるブログになっていれば嬉しいです。

今回は以上です。