メンヘラデータサイエンティストの感情コントロール方法

どうも、5年目 DS の杉山です。

この文章は、仕事を楽しみたくて、頑張ってはいるものの、仕事をなかなか楽しめなかったり、成長が感じられなかったり、自分に自身が持てなかったり、そういう人向けの記事です。

何を隠そう私も、基本的にはメンヘラで、日常の些細なことですぐにメンタルに影響する人間です。(私の1年目を知っている人にはめっちゃ分かってもらえると思います(笑))
これは仕事を始める前も、始めたばかりのころも、今も変わっていません。
ですが、私も Atrae で世界中の人々を魅了する会社を創る一員。メンタルなんかに振り回されている暇はないのです。

そこで今回のブログでは、この数年の試行錯誤の中で獲得した対処法をお伝えしたいと思います。
今回の方法は、圧倒的ロジカルアプローチなので、データサイエンティストとか、エンジニアとか、そういう人たちにとって親和性が高いんじゃないかなと思います。

1. 感情は push 通知

感情に振り回されるようでは、ビジネスマンとしての天井はそう高くはありません。こいつをなんとかする必要があります。

例えば、なにか議論をしているときに、何かめちゃくちゃイライラする時はありませんか?
このときは、どうするのが良いのでしょうか?

「感情を否定する」という方向で制御をかけようとする人がいますが、はっきり言って、これは不可能だと思います。

恐怖や怒りの感情は、そもそも、生命的な危機を感じた時などに出てくるもので、人間の自然界での生存を助けるための道具の一種です。
なので、このレベルの原始的な生理的な反応を理性でコントロールする試みは不可能か、控えめに言っても筋は悪いでしょう。

感情を敵に回すのではなく、利用するアプローチがおすすめです。

感情は、先述の通り、潜在意識が感じた直感的な違和感が、認識できる形となって現れたものです。
なので、自分が感情的に反応しているときというは、「なにか違和感がある」けど、「言語化がすんなりいかない」という状況が多いと思います。
つまり、感情が湧いているときは、なにか理性とは別の方法で、現状に対する違和感をキャッチすることに成功した時なのです。
要は、感情は push 通知なのです。
受け取った通知を、よくわかんないまま周囲にぶちまけてしまってはもったいないのです。
せっかく通知を受け取ったので、なぜ自分がその感情を抱いたのかを考えてみましょう。慣れてくると、意外と原因がわかるものです。

ちなみに私の場合は、感情 push 通知が来たときはだいたい

  • 自分の意見が相手に伝わらない
  • 議論の方向性に違和感がある
  • なにか恐怖を感じている(失敗したかも、、、とか)
  • なにか別の話題で焦っている(次のMTG準備できてないやばい、、、とか)
  • 自分が直したいなと思っているところを、相手の中に見出している

など、こんな感じのパターンが多いです。
前半2つであれば、更にその原因を考えることで、議論を前向きに進める原動力になります。 push 通知ありがとうって感じですね!
後半3つは、相手は悪くないのに自分が勝手に暴走しているパターンです。(特に最後のやつが反応している、、、!と気づいたときは、自分もまだまだだなぁとつくづく思います)
こういうときも、感情の原因が分かれば、不思議とイライラは収まってくれます。そうなれば、もはや対処しないといけない感情自体がなくなっているので、万事 happy ですね!

まとめると、

  • 感情を否定する、抑制するというアプローチは筋悪
  • 感情を push 通知として利用しよう!
  • 原因を考えると、感情を起点として、次のステップに進める!

という感じです。

慣れない間はちょっと大変ですが、感情を push 通知として捉えて、その原因を探る癖をつけておくと、いつの間にかできるようになっていたりします。オススメです。

2. 役に立つかどうかという基準

メンタルや自身の感情に関して、あれこれ考えることがあると思います。このときに、おすすめしたいことがあります。
それは、「正しいかどうか」ではなく「役に立つかどうか」を基準にすることです。

例えば、自身の仕事について振り返りをしているとしましょう。
こういう時、メンヘラ気質のある人は、物事の悪い面ばかりを捉え、どんどん自分を責める思考に入ることがあると思います。
私です(笑)
でも、私だけではないと思います。

こういうときに、正しいかどうかを基準にすると、ドツボに嵌ります。
過去を後悔しているときの「あの時ああしていればよかった」という考えは、基本的に正しく聞こえることが多いからです。
そんな事を考えてもしょうがないとは分かっていても、ネガティブモードに入ったときに、この思考を振り切ることは容易ではありません。

そこで、「役に立つか」どうかを思考の基準にすることをおすすめします。
後悔し、取らなかった選択肢のことを想っても、何の役にも立ちません。自分を徹底的に否定しても、何の役にも立ちません。
役に立つ思考を選ぼうと思うと、「冷静に当時の状況を思い出し」「当時の選択の背景を思い出し」「後知恵で知っていることを除いた上で」「当時の情報量でも正しい選択に気づく方法はあったのか」「また、それは今後応用可能か」ということを考えることになると思います。
巷で言う、「失敗は学びがある!チャンスだ!」というやつです。

根っからのネガティブ人間たる私は、「失敗は学びがある!」とか言われても、失敗していることが気になって仕方がありません。
「ポジティブ思考をせよ」と言われても、簡単にはできません。
というか、そもそも「ポジティブ思考」なんてやりたくありません。正確な現状認識ではなく、ポジティブにバイアスをかけて世の中を見ろというのも、極めて大きな抵抗があります。
ですが、仕事を楽しみ、仕事で大きなことを成し遂げたいと思っている人にとって、「役に立つ物の考え方をせよ」であれば、受け入れやすい考え方ではないでしょうか。
この考え方は実際に役に立ちますので、オススメです!

3. 誤った謙虚を捨てる

謙虚であることは良いことです。多分。
ですが、一つ気をつけたほうが良いことがあります。それは、考え方まで謙虚になってはいけないということです。
あくまで、謙虚なのは、対人関係時の表現のみに留めるべきです。考え方や物の見方は、徹底的に冷静で正確で立体的であるべきです。

例えば、◯◯というプロジェクトにおいて、××という役割を担当したとしましょう。
謙虚な人であれば、

  • このプロジェクトはチームの全員の力が合わさってできたもので、みんなのおかげだ
  • だから私がすごいわけじゃないんです
  • 今回使った技術は一般的なものですし、誰でも出来ますよ
  • 私なんて大したことはないです、他の人のほうがすごいですし

なんて、よく聞きますよね。

これだけなら良いのですが、この言葉に囚われた結果、「私は何も成し遂げていない」「私はなにもできない」「私は大したことない価値のない人間だ」と、どんどんネガティブに落ちていく人もいると思います。
私です(笑)
でも、私だけではないと思います。(2度目)

こういう、自分を否定して感傷に浸るのって気持ちいいんですよね、思考停止できますし。わかります。気持ちいいんですよ、辛いけど。
ですが、まず、「私は何も成し遂げていない」「私はなにもできない」「私は大したことない価値のない人間だ」という考えは、役に立たないです。
ではどうすればいいでしょうか?

例えば、「だから私がすごいわけじゃないんです」に起因して、つらい気持ちになったします。
来ました、感情です。感情 push 通知です。この通知を受け取って思考を深めましょう。

「すごくない」と感じていますが、これはどういう意味でしょうか。
誰かと比べてすごくないということでしょうか。
例えば、プロジェクトリーダーと比べてすごくないということでしょうか。
これは事実認識としては微妙な可能性があります。
確かに、担っている役割が異なり、背負っている責任の量が異なるかもしれません。
そして、プロジェクトリーダーは、あなたにはまだ出来ないことを出来ているかもしれません。
ですが、プロジェクトリーダーが全体を見る役割をしている一方、あなたは一部分についてはリーダーより深く詳しく把握し、その中で仕事をしているはずです。
つまり、あなたはプロジェクトリーダーには出来ないことを一部やっている可能性があります。
であれば、冷静で正確で立体的な事実認識はこうです。プロジェクトリーダーよりすごくないという認識は正しくなく、それぞれ異なる役割を担い、それぞれ異なるスキルを駆使している。Aという面ではプロジェクトリーダーの果たす役割が大きいが、Bという面では自分の果たす役割が大きい。こんな感じになるはずです。
優劣ではなく、役割分担でした。

私みたいなメンヘラさんは、「Aという面ではプロジェクトリーダーの果たす役割が大きい」という認識で、自分が辛くなって、辛いことに満足して、そこで止まっちゃうんですよね。
そこで思考を止めてはいけません。視点が足りません、もっと立体的に物事を見るべきです。
「Bという面では、自分の果たす役割が大きい」これをしっかりと見つけましょう。

立体的な思考には、こんなパターンもあります。
「自分が果たしている役割は、全部、先輩のほうがうまくできる」
これが正しい状況もあると思います。
ですが、これも、視点が足りません。
そもそも、先輩のほうがすごいのは当たり前です。当たり前の事実を用いて自分を否定しても何の役にも立ちません。
もっと立体的に考えるのであれば、過去の自分と比較して今の自分がどうかという視点も併せて見るべきです。
本当に冷静で正確で立体的な捉え方は、
「先輩の方が◯◯も××も△△もうまくできるのは事実である。事実である一方、1年目としては◯◯はある程度できるようになった方だと思う。先輩は××が強みなので、僕は◯◯に注力する。今は◯◯の実戦経験を積んでいるので、1年ほどすれば今の先輩と同じレベルに至る。××と△△については、今は扱っていないが、将来扱えばできるようになるだろう」
とか、このあたりではないでしょうか。

私みたいな人は、特に、立体的な捉え方が苦手です。特に自分を褒める視点が苦手です。
ですが、この視点を徹底的に排除したまま偏った現状認識に固執するのは、上を目指すビジネスマンとしては微妙な選択です。
あえて正確性を犠牲にしてポジティブシンキングをすべきと言っているのではありません。
より正確な現状理解をするために、謙虚な視点のみならず、自分を褒めるタイプの視点も併せて持つことによって、どういう視点では自分は優れていて、どういう視点では自分に改善余地があるのか、それを把握しようという話です。
対人上の発言は謙虚にするのは個人の自由ですが、中身は、徹底的に冷静に正確に立体的に行きましょう。

4. 徹底的に正確な現状認識にこだわる

最後に。
感情に纏わるアプローチの話をしましたが、やはり、我々ビジネスマンとしては、徹底的に正確な現状認識にこだわることが重要だと思います。
「ポジティブシンキングをしよう」とか、「謙虚であろう」とか、そういうのは全部、ある面では正しいですが、言葉を鵜呑みにするのは危険です。
何よりもまずは、徹底的に正確な現状認識をすることだと思います。
ロジカル人材系メンヘラの方には、割と悪くない方策ではないでしょうか。

5. 終わりに

万人受けをしない事を書いてきた自覚はあります。ですが、一部のタイプのメンヘラさんには、トライしやすいことではないかと思います。
「役に立つ」という基準を前提に、「徹底的に冷静に正確に立体的に事実認識」をする。
別にポジティブ思考をしなければいけないわけではない。ただただ役に立つことを冷静に正確に考える。
こういうことが得意なタイプのメンヘラさん、いると思います。

絶対に万人ウケする記事ではないとは思いますが、誰か1人でも、これを読んでなにか考えていただければうれしいです。

ABOUTこの記事をかいた人

杉山 聡

博士(数理科学) 2016年10月から Atrae に join し、 Green の marketing を担当した後、現在は wevox の data scientist として従事。 北里大学の島津研の特別研究員としても活動しており、 work engagement 関連の研究に参加している。