戦争と経営のあいだ

今回は15卒内定者の上大迫が担当させていただきます。
物騒なテーマに見えますが、全くもって政治的なお話ではないです。
先日、「史上最大の決断」という本を読みました。それで、同じ方の著作である「失敗の本質」を昔読んだなーと思い出し、当時思ったことや得たことを共有しようと上記テーマにしてみました。
本の内容は「日本軍はなぜ負けたのか」に関する組織論的考察です。
以下3つの主要敗因。
1.あいまいな戦略目的
いかなる作戦にも明確な目的が存在しなければなりません。目的が複数あり兵力が分散することはそれ自体で敗戦の条件となります。例えばミッドウェー海戦で山本長官の意図した目的は米太平洋艦隊を叩くことでしたが、南雲長官以下は島の占領だと思っていました。

2.短期決戦の戦略志向
日本は「出鼻を挫いて戦意喪失させ、講和に持ち込む」という短期的戦略で、アメリカは「太平洋諸島を段階的に制圧することで前線基地を確保し、日本本土を直接攻撃する」という長期的戦略でした。
そして長期的戦略から見た個別作戦と、場当たり的な個別作戦では成果に大きな差が出ます。例えばガダルカナル島は日本にとっては「米国が上陸しつつある小島」でしたが、米国にとっては「前線基地確保のためのマイルストーン」でした。そのため、日米の投入兵力や兵士のモチベーションには大きな差がありました。
3.主観的な戦略策定
日本軍の戦略策定は、一定の原理や論理に基づくより情緒や精神論に支配されていました(インパール作戦や特攻等)。対するアメリカは、太平洋における18回の上陸作戦(硫黄島や沖縄等)を通じて仮説と検証による学習を繰り返し、海兵隊という上陸作戦に特化したコンセプトを洗練させていきました。
以上3つの敗因(本では他にも紹介されています)を挙げましたが、これらは日常に活かせるなと感じました。
一つ目のあいまいな戦略目的に関しては、(以前このブログに書きましたが)、常に目的は何かを考えること及びそれを共有することで、成果やその経験から得られるものに差が出てくるというものです。本を読むときやMTGするときに目的を強く意識することで、成果は大きく変わるはずです。
二つ目の短期的な戦略に関しては、英語の勉強がいい例になるかと。単純に「英語を勉強する」という短期的な視野か、「会社として海外展開をしたい・外国人を採用したい。だから英語を公用語化する。そのために英語を勉強する」という長期的な視野かで、成果やモチベーションに差が出ます。 これは、Atrae Standardの「城を作る意識」にもつながってくると思います。

三つ目の主観的な戦略策定に関しては、やはり精神論や「できる限り頑張る」といったものよりも、きちんと目標なり仮説なりを立てて、それを達成・検証できたのかを繰り返す方が長期的に見て成長速度が速いというものです。
以上のように、軍事戦略から日常に活かせることはかなりあると思っています。特に経営にはより直接的に活かせるのではないでしょうか。経営‘戦略’と言うくらいですし。

興味がわいた方には軍事戦略の古典、クラウゼヴィッツの『戦争論』もおすすめします。それでは!