議論するときの立場

wevoxで開発を担当している稲村です。
今回はプロダクトの方向性や、機能の仕様などを議論する上で、私が常に心がけていることを書きたいと思います。
それは、 自分の立場(役割)と 相手の立場(役割)を意識すること です。
すごく当たり前のことなのですが、議論が白熱すると忘れてしまうこともあるのでこの場をお借りして整理することにしました。

例えば、ある機能の企画をする際、
私は開発を担当しているので、システム的な観点も含めて考えます。
一方で、デザイナーはユーザーにとって使いやすく、かつ、他の機能とも調和のとれたものを考えます。
さらに、セールス・サポートはお客様からの要望なども踏まえた形の意見を持っています。
そして、それぞれ役割はあれど、色々な視点を持っているので部分的に重なる部分もあります。
例えば、デザイナーでなくてもデザイナー的な観点での意見も持っていますし、セールス・サポートではなくても、1ユーザーとして意見を持っていたりもします。

この状況で議論するときに、
私の意見が、1ユーザーとしてのものなのか、開発担当者としてのものなのかで議論の進み方は変わるはずです。
現状のシステムでは実現が困難なものがあるとすると、開発担当者としてのもの、ということを明確にすべきです。
立場を明確にしなければ、他のメンバーからすると、全てが開発担当者としての意見(未知の世界)として感じてしまったり、逆に全てが1メンバーとしての意見に感じ、不要に時間を使ってしまうこともあります。

自分自身の立場を明確にする(意識する)ことで、自らを客観的に見ることもできます。
感情的に話し始めた内容でも、この意見がどの立場の意見なのかを考えると冷静になることができます。もしかすると、その意見は自身の意見を通すためのものであるかもしれません。

意見はその人自身のこれまでの経験や、そのときの状況に依存します。
相手の立場を意識することで、そのような経験や状況を聞くことができるようになります。
議論している内容が、これまでの成功体験や失敗体験が思い出されるようなものであったり、直近、お客様から直接要望をいただいたものであれば、想いはもちろん強くなると思います。
意見だけを聞くより、その背景を聞くことができた方が、相手の意見をより深く理解することができます。

つまり、立場を意識することで議論が進見やすくなるのはもちろんですが、
自分の立場を意識することで、 自身の意見を客観的にみることができる ようになり、
相手の立場を意識することで、 相手の意見を適切に解釈できる ようになります。

良い感じにまとまったかなと思ったのですが、もう一つ意識していることを思い出しました。
それは、議論の場に応じて自分の立場を変えること と、 その立場での理想をぶつけること です。

例えば、デザインについて議論しているときに、私はシステムのことはあえて意識しないようにしています。
職業柄、なかなか意識せずにはいられないのですが、意識してしまうと、どうしてもシステム的に作りやすいもの、に行き着いてしまいます。(もちろん、システム的に作りやすいものは、デザインがシンプルであり、わかりやすい場合もあります。)
私はこれでは理想的なプロダクトは生まれないと考えています。
できるかどうかはさておき、一旦、理想をイメージしなくては、最初から妥協で出来たものにしかなりません。
議論で、参加者全員の思っていたもの以上のものを生み出すには、お互い配慮しながら、良い感じのところで妥協するのではなく、理想をぶつけ合うことが大切です。

ということで、これからも上記を意識して、ひたすら議論をしていこうと思います。