企画で行き詰まった時のための個人的指針

yentaデザイナーの平根です。

先日、電通CDC所属で小説家でもある高崎卓馬さんの「面白くならない企画はひとつもない」という本を読みました。

内容としては、企画に悩む人たちを集めて開催される「クリエイティブ・クリニック」という勉強会の作品添削や後輩トミタくんとのやりとりなどを通して、「良いCM企画」を生み出すためのあれこれを学ぶことができるというものです。

CM企画やコピーライティングに関する内容が中心ですが、プロダクトのキャンペーンや広告、動画、LPやビジュアルデザイン、何らかの記事コンテンツを書く時などにも生きるなと思いながら読んでいました。

読了してみて、個人的に特に好きだなと思った2箇所を以下に引用します。

ひとつめ。

よくアイデアが降りてくるといわれますが、何もないときに天の啓示のようにひらめくということは絶対にありません。自分の脳がどんな答えを欲しがっているのか、それを自覚できているからアイデアに気がつくことができるのです。アイデアとはもう僕たちの身の回りにあるのです。それに気がつく瞬間は快感を伴うのでひとはそれを「ひらめく」「降りてくる」と言いたくなって後日談的に話が盛られているだけです。
大切なのは自分が何を思いつきたいのか、を徹底的に考えることです。

ふたつめ。

面白くできない企画は実はひとつもありませんでした。どの企画も何かをやろうとしているからです。何がしたくて、何をしようとしているのか。それさえ理解できたらその企画のどこがそれの邪魔をしているのかを見つければいいのです。短所を削る。長所をのばす。それをやればいいのです。

いろいろなことが書いてあった中で、自分にはこの2箇所が特に刺さりました。
ですが、他の人が読んだら、きっとまた違った箇所を挙げるんじゃないかなと思います。

現に、何人かに上述の一部について共有したとき、そこまで強い興味を惹けなかった(気がする)という体験がありました。

私の伝え方が悪かっただけかもしれない。前後の文脈がないと響かない部分だったのかも?もしくは、共有したメンバーに、比較的ロジカルなタイプのメンバーが多かったから、少し具体性に欠ける内容で、相性が悪かった…?

などなど考えましたが、その過程で、「逆になぜ自分にはこの2箇所が刺さったのだろうか?」と疑問に思いました。

せっかくなので、今回はその問いについての答えを出してみました。

 

自分に刺さった理由をまとめてみる

 

引用文から自分に刺さった要素を抽出してみると、下記のようになります。

  • 「ひらめきは、自分の脳がどんな答えを欲しがっているのかを自覚した先にある」→「大切なのは自分が何を思いつきたいのか、を徹底的に考えること」
  • 「面白くできない企画はひとつもなかった。どの企画も何かをやろうとしているから。」

それぞれについて考えてみます。

 

「ひらめきは、自分の脳がどんな答えを欲しがっているのかを自覚した先にある」→「大切なのは自分が何を思いつきたいのか、を徹底的に考えること」

結論から言うと、私はこの部分を読んだ時に、自分が持っている「企画」に対する価値観(全く言語化できていなかったもの)をみごとに言い当てられたような快感を覚えたようです。

自分では整理も言語化もできていませんでしたが、何かクリエイティブなものを生み出そうとするとき、「何か素敵なものが自分の頭の中にありそうなんだけど、それがまだ形になっていない」「自分の脳が何かを求めている」そんな感覚があり、「そこに辿り着きたい」という気持ちが企画を行う原動力になっている気がします。

だから、この一節を読んで、 “企画とは、積み重ねるのでも、捻り出すのでもなく、石の塊から複雑な形の彫刻を掘り出すように、「自分の頭の中にある何か」を丁寧に掘り起こして、言語化して、形にしていくような作業なんだ” と捉え直したら、すごく企画がしやすくなるなという納得感がありました。
自分にはしっくりくる表現だったということかもしれません。

「こういうの良さそうじゃない?」とか、「なんかこれじゃないな…」と思うのには、何か理由がある。
そこに、「自分が何を思いつきたいと思っているのか」のヒントがある。
「自分はこういうものを思いつきたいんだ」というものがハッキリすれば、それは企画の絶対的な指針になる。腰を据えて向き合い、悩み、考えるべきはその部分である。

言語化されていないものは道具として使うことができないけれど、一度言語化されれば、「いま、自分は何を思いつきたいんだ…?」「これは本当に “自分が思いつきたいもの” に近づいているか?」と自分に問うことができるようになります。
私には、この一節を読んだときに、それまで実体のなかった便利な道具が、可視化されて手に入ったような快感があったのです。

 

「面白くできない企画はひとつもなかった。どの企画も何かをやろうとしているから。」

次にこの一節について。

すごく勇気付けられる言葉だと感じました。
「何かをやりたい」という気持ちや感覚そのものを肯定されているようで。

自分にはこの言葉が、「何かを生み出すとき、脳が何かを欲しがっている感覚さえあれば、それは必ず形にできる。」という、力強いエールのように思えました。

 
自分が何か生み出そうとするとき、「ダメかも」「全然面白くない」「微妙だった」と思って諦めることってあると思います。
そんな風に、一度全然ダメだと思ったものでも、「自分が本当は何をやりたくて、そのために何をやろうとしているのか」を紐解いて丁寧に形にしていったら、きっと面白くなる。

「やりたいこと」自体は否定されない。面白くならないのはただの技術不足。
だったら面白くなるまで努力しようと思える。

「これって面白そうかも」と思ったアイデアの種を、「全然ダメだった」と捨てたりしなくていい。
ふと思い浮かんだそれに、自分の脳や心が反応したのなら、とことん磨けばいい。

そんな風に思うと企画って、石ころのような原石を、カットして 磨いて 宝石にしていくような、すごく楽しい作業ですよね。
全ての石に宝石が入ってるって思えるの、めちゃくちゃポジティブ。

 
タイトルにもなっている、「面白くならない企画はひとつもない」は、とても素敵なメンタルモデルなので、ぜひ自分の中にインストールしたいと思いました。
 
 

むすびに

こうして思考を文章に落とし込んで言語化してみることで、この本を通して自分が得たものをクリアにできた気がします。

改めて企画って面白いよな、と思わせてくれたこの本に感謝をこめて書きました。

 
 
最後に、私のリモートワーク中のちょっとした楽しみを紹介して終わります。

自分はQOLが上がる感じのものを好むので、先日このページを見て、「キウイとハーブをシロップに漬けて一晩寝かすやつ」作ってみました。
そして先週のリモートワーク中、なにかと炭酸水で割っては飲みました。
とても気分が良かったです。

こういうのお好きな方は、是非試してみてください! 

では、ここまで読んでいただきありがとうございました!

ABOUTこの記事をかいた人

平根

2015年卒新卒入社でデザイナーをしている平根です。 教育学部英語英文学科出身ですが、未経験でデザイナーになり、サービス立ち上げ時からずっとyentaチームにいます。 少年漫画と音楽とビールをこよなく愛します。