事実と真実 〜データサイエンティストの悩み〜

 

今日は、数学博士からの社会人3年目、杉山がお送りします。

突然ですが、私はこの10月から、本業が Green の marketing から wevox の Data Science になりました。データサイエンティストを本業とする人としては、社内1人目です。右も左も上も下もわからぬ中、なんとか前進しております。
(みんな普通に数字使って意思決定してる、ほぼ全員シチズンデータサイエンティストな会社で、一部の人はデータサイエンティストと呼ばれてもいいような役割も普通に遂行している人もいるので、こう名乗るのはちょっと葛藤もあります(笑))

(^o^)初手宣伝ですが、アトラエの2人目のデータサイエンティストとして一緒に暴れる仲間を募集しています(^o^)

そんな、社内1人目データサイエンティストとしての、最近の葛藤についてお伝えしたいと思います。
きっと、御社のデータサイエンティストも似たようなことを感じている気がします(特に理学系出身の人は)。異文化コミュニケーションと思って読んでいただけると幸いです(笑)

Green marketing 時代

さてさて、振り返れば Green marketing 時代。私の仕事の中心は、数字を用いて意思決定をし、施策を実行することでした。「数字を用いて意思決定の精度を上げる」ことをしていたので、よく考えたら、事実上データサイエンティストの仕事をしていたのだなぁと、今にして思います。
そこでは、 Green の調子を表す種々の数字(=事実)を的確に捉え、そこから状況を把握し、対策するなり、新規企画を考えるなりの意思決定をしていました。このときは、データを用いた意思決定の打率は、7割もあれば十分で、とにかく早く正確に数を打って伸ばすというのが大事でした。正しいことを言うことが大事ではないのです。事業を伸ばすことが大事なので。

wevox Data Science Team では

一方、今の wevox です。私が取り組んでいる分析は、 wevox という web サービスを使っている各社さんのデータから、各社さんに有益な示唆を伝えることを目的としています。実は、 Green 時代の分析とは、かなり状況が異なっております。
まず、意思決定者が、私( or 社内の人間)から、社外の人間に変わりました。私が作る分析アルゴリズムは、サービスに乗ります。すると、一瞬にして、多くの会社さんの元に届き、そして意思決定に利用されるようになります。影響範囲が巨大です。
このときは、分析の打率は7割では全然駄目です。95%でも厳しいです。データの利用者が自分だったら、10回やって7回も当たれば万々歳なのですが、お客さんにこれを届けるとなると話が変わります。精度が 95% だったとしても、 5% のお客さんは、そのお客さんのところの大事な1回の意思決定に、誤った示唆を使うことになります。これは問題です。
この環境に置かれてみると、今度は、事業を伸ばすことより大事なことが出てきます。それは、利用いただいているお客さんに確実に価値を届けることです。当然ですが。
一周回って、ただの数的事実ではなく、真実に近いものを見つけることが求められると思っています。

想い

短期的に事業を伸ばすため、自分にとって都合のいい数的事実を見つけ、大々的に宣伝することは簡単です。都合のいいようにデータを集め、都合のいい分析手法を選び、統計的有意性を見出してなんてことは、統計を本気で学んだ人なら誰でもできます。(ちょうど、優秀なエンジニアさんが、その気になれば、ダミーサイト作ってパスワードを抜くことが簡単にできるように)
ですが、それだけは、私は絶対にやらないようにしようと考えています。仮にビジネスが下手だと言われようと、それはやっちゃダメだと思うんですよね。当然なんですが。
特に、ワーク・エンゲイジメントの分野は、今や HR 業界ではバズワードになりつつあり、良くも悪くも群雄割拠になると思います。玉石混交の情報発信が今後増えると思います。そういう世界においても、 wevox、ひいては Atrae は、信頼される存在であり続ける必要があります。

そういう想いの発露の1つとして、ワーク・エンゲイジメントの第一人者である北里大学の島津先生の研究に協力し、休暇の過ごし方とワーク・エンゲイジメント、仕事のパフォーマンスの関係の研究をしております。(実は、私はこの研究室の特別研究員でもあったりするのです)
研究は、結果が出るまで年単位で時間がかかるので、なかなかビジネスど真ん中ではないところが同時に悩みでもありますが(笑)

このスタンスは、私のエゴかもしれないですが、でも、これはこの会社で共有されている大事な価値観でもあります。
世界中の人々を魅了する会社を創る我々が、そんな事したら終わりですしね。
大切な人に誇れる会社であり続けるためにも、私はここを死守したいと思います。

勘違いしないでいただけるとありがたいのですが、ビジネスを軽視しているわけではありません。
私みたいな人が上記の文章書くとそう見えそうですが、、、(笑)
上記のスタンスを貫き通しながら同時に、分析プロダクトを通して価値を生み出し、お客さんに価値を届け、事業も伸ばす。これが、大人のやりかたなんだと思います。

いっしょにはたらきたい人まってるよー

と、いうわけで、いい話をした(つもりの)後にお決まりですが、宣伝を…(笑)
へーしゃでも例に漏れず、データサイエンティストを募集しております(^^)
ビジネスとサイエンスの板挟みになることのおおいデータサイエンティストですが、ビジネスに魂を売るタイプの葛藤ではなく、ビジネスとサイエンスを両立させる難しさに挑む葛藤を、私と一緒にやりませんか?
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ABOUTこの記事をかいた人

杉山 聡

博士(数理科学) 2016年10月から Atrae に join し、 Green の marketing を担当した後、現在は wevox の data scientist として従事。 北里大学の島津研の特別研究員としても活動しており、 work engagement 関連の研究に参加している。