「オーケストラもいいね、でもヘビーメタルが好き」って話

こんにちは、今日はプレミアリーグ最終節ですね。
ブックメーカーの予想ではリバプールの優勝オッズは7.00
ただサッカーは最後まで何が起こるか分かりません、先日のチャンピオンズリーグと同じようにミラクルが起きることを願って、山口がお送りします。

 

さて、今日はサッカーの戦術と組織論を無理やり関連付けることに成功したので、そんな話をしたいと思います。

いまサッカー界では「ポジショナルプレー」と「ストーミング」という2つの概念があります。
すごく簡単に2つの概念を紹介すると(あくまでサッカーそんな詳しくない人向けに書いているので多少粗いですがご容赦を)

<ポジショナルプレーとは>

主体的なポゼッション(ボール支配)をベースとしたフットボールのこと。
元々の語源はチェスの戦術から来ており「ある局面における選手の”配置”」によって優位性を生み出すスタイルである。
マンチェスター・シティのグアルディオラや、チェルシーのサッリが代表的で彼らはピッチ上での「秩序(≒バランス)」を非常に重要視する。

サッカーを革新したチェスの概念。ポジショナルプレーという配置論

<ストーミングとは>

最新のサッカー研究では「ボールを手放すことを厭わない概念」と言われており、ポジショナルプレーの対立概念として語られることも多い。(そのためリアクションサッカーとも呼ばれる)
自分たちがボールを保持することに固執せず、出来るだけ優位なエリア(敵陣深く)に速くボールを運ぶことを重視する。
具体的なアクションとしては細かいパス回しによる時間をかけた攻撃ではなく、少ない手数での早い攻撃を好み、また守備の局面では敵陣でボールを奪われた際に陣形を整えるのではなく、その場でボールを奪い返すことでチャンスにつなげようとする。
代表的なのはラングニックやクロップなどで、特にドイツで主流である。こうしたスタイルは「秩序」を重要視するポジショナルプレーに対応してしばし「カオス」と呼ばれる。

新概念「ストーミング」考察:ボールを手放すことを厭わない概念

 

ここで誤解がないように伝えておくと、決して両者は相容れないものではなく、
グアルディオラも時にストーミング的な要素を戦術に組み込むし、クロップもポジショナルプレーをしない訳ではない。
ただ傾向として前者は8 : 2くらいの比率、後者も3 : 7くらいの比率でゲームモデルを構築するため上記のように呼ばれている。

そして面白いのは、二人の監督の考え方の違いです。(彼らと直接話したことないので真意は定かではないですがw)

グアルディオラは「このやり方が一番勝てるから選択している」という趣旨の発言しているのに対し、
クロップは「彼はボールを保持し、パスをつなぐフットボールを好んでいる。まるでオーケストラ。でも、静かな曲だね。私はヘビーメタルが好きなんだ」と言っています。(クセが強いw)

もはやクロップに関しては戦術の域を超えて『いいサッカーとは何か?』とか『こういうサッカーが好き』みたいな話になっているのです。

さて意味不明なサッカーの話はこれくらいにして、翻って考えてみると似たような話が組織論の世界にも転がっているなと思います。

「ピラミッド VS ホラクラシー」というのは最近組織づくりにおいてよく聞くトピックではないでしょうか。(弊社は組織というものに対するこだわりが非常に強い会社で、定期的に理想的な組織について全社会議が行われたりします)

私の個人的な考えとしては、

– そのチームにいるメンバーの価値観/能力
– ビジネスモデル
– 会社/事業のフェーズ
– 組織の規模

みたいな変数によって最適解は変わってくるので、どっちがいいかみたいな話はそんなに重要ではないと思ってます

ただサッカーの戦術同様、答えがないor変数によって変わる話だからこそ『どっちが好きか』とか『いい組織とはなにか』みたいな哲学のところは非常に大事なんじゃないかと思います。

個人的には「こっちのほうが勝てるからやる」って言ってる人より「こっちのほうが好きだからやる」っ言ってる人のほうがカッコいいなと思いますし、答えのない世界では最強だなと思っています。

また、サッカーの戦術同様にこれは10 : 0でしか成立しえない二項対立の概念ではなく、時と場合に応じて使い分ける必要があるという中で、少数派の意見が非常に重要だと考えています。
サッカーにおいても、クロップのチームでもポジショナルプレーに強みを持った選手もいるし、グアルディオラのチームにストーミングな人材もいる訳で、五分五分の勝負の最終局面ではそういった選手が試合結果を左右することも少なくありません。
個人的には組織の中で8 : 2や7 : 3のバランスが保たれている時に、マイノリティ側を担う意見というのはサッカー同様にとても重要で、組織の持続的な進化には必要不可欠だと考えています。
文化や価値観の浸透という意味で組織に色があることは非常に重要ですが、他方で均質な組織は脆いのも事実で、異なる意見をちゃんと内包出来る組織が本当に良い組織ではないでしょうか。

あくまで個人的に感じる傾向ですが、

サッカー界では資金力のない下位〜中堅のチームが「ストーミング」の戦術を採用するケースが多いです。(ポジショナルプレーを展開するにはボールをうまく扱える優秀な人材が多数必要なため、資金のないチームでは難しいという背景があります)
ビジネスの世界でもいわゆるスタートアップやベンチャーと呼ばれる組織では「意思決定のスピードを早めるためにホラクラシーだ」という文脈で語られることも多いように思います。

上記のように目的や制約条件から逆算して手段を選ぶというのはとても重要だと思いますし、自分自身そういうタイプです。
ただ最近は、そもそも「どんな組織が好きか」みたいなところに立ち返って考えてみると、別の角度から考えることが出来て一歩思考が進むんじゃないかな、と思ったのでこんなブログを書きました。

拙い文章でしたが、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
引き続き、アトラエを宜しくお願い致します。

ABOUTこの記事をかいた人

山口 真太朗

新卒2017年入社の山口です。 最近はyentaというビジネスマッチングアプリの行動ログやマーケティング関連のデータ分析等をしています。 趣味はサッカーで好きな選手はフランチェスコ・トッティ。好きな解説者は粕谷秀樹さんと早野宏史さんです。 あと漫画と麻雀が好きです。