役割がやることを決めるのではなく、やるべきこと・やりたいことが役割を生む

みなさんはじめまして。

1月から中途でアトラエにジョインした篠隈と申します。

普段はwevoxのインフラエンジニアとして業務をしていますが、早速エンジニアとしての話ではなく、マネジメント系の話をしようと思います。

(タイトル詐欺のように見えるかもしれませんが、最終的にはタイトル通りの話になります…!)

まずはじめに、みなさんマネジメントといってどのようなものをイメージするでしょうか?

  • 100人以上を取りまとめる一大プロジェクトのマネジメント
  • 課長のような役職で、プロジェクトとは別枠で部下をみるマネジメント
  • アジャイル型のような小規模のチームをまとめるマネジメント

など、置かれる状況によってイメージするマネジメントは異なると思います。

もちろんアトラエでも良いマネジメントによってより大きな価値を確実に生んでいくことは重要なのですが、アトラエには役職が存在しないため、世の中で一般的に存在する「マネージャーがマネジメントを行う」といった常識も存在しません。

しかし、常識が存在しないということは、思考停止に陥ることなくより本質的な「マネジメントとは何か」というところに意識を向けやすいということでもあります。

今回は僕がマネジメントにおいて大事だと感じている「意志」と「コミュニケーション」と「夢」を中心に据えて、アトラエにおけるマネジメントについて考えてみようと思いますが、きっとこの話は役職のある会社にも転用できる話かなと思っています。

ということで、

  1. マネジメントにどのように意志が関わってくるのか?
  2. マネジメントにどのようにコミュニケーションが関わってくるのか?
  3. マネジメントにどのように夢が関わってくるのか?
  4. 役割がやることを決めるのではなく、やるべきこと・やりたいことが役割を生む

といった流れで話をしていこうと思います。

 

1. マネジメントにどのように意志が関わってくるのか?

一般的に言われる、マネジメントの存在する理由は多々あるかと思いますが、突き詰めていくと「チームの生み出す価値を最大化するため」という所に落ち着くと考えています。

アウトプットの質を高めるのはもちろんのこと、どのタイミングで世の中に、お客様に届けられるかによっても生まれる価値の大きさは変わるので、納期を守るための管理も当然マネジメントに含まれてきます。

しかし、アトラエには役職がないので、「立場上否が応でもマネジメントをやらなければならない人」は存在しません。

マネジメントの重要性は至るところで叫ばれているのにも関わらず、です。

ではそんなマネージャー不在の状況において、どのようにすればアウトプットの質を高めることができ、最適なタイミングでアウトプットを出せるようになるのでしょうか?

僕はその答えは「個々人の意志を最大化すること」だと考えています。

まず第一に、アトラエでは採用に細心の注意とエネルギーを注いでいるため、管理されていないから特に仕事をしない、という人はいません。

個々人による違いこそあれど、「なぜ自分はアトラエで働くのか」「アトラエで働くことで何を為したいのか」がはっきりしている分、みんな強い意志があります。

強い意志があるといことはイコール、言われたから仕事をこなし、終わったら次の指示を待つ、ということにはなり得ません。

例えば自分の意志でゲームをやりたいと思っている子供が、親からやるべきゲームを指示されることを待つなんてことはなく、勝手に「あのゲームがやりたい」と言い出すのと同じですね。

意志は次を求めるエネルギーになる、ということです。

また意志には無駄を省く力もあります。

例えば自分の意志でゲームをやりたいと思っている子供が「ゲームは1日1時間」というルールを設けられた場合、どうなるでしょうか?

僕は実際にこのルールのもと子供時代を過ごしましたが(笑)、ゲームを始める前に前回のセーブポイントはどこで、今日はどこからスタートなのか?を確認し、次はあのダンジョンに行くところからだったな、などということを考えスタートしていました。

(ギリギリ”セーブ”という概念が生まれ始めた世代です)

プレイ中は存分にゲームを楽しみながらもあまり無駄な行動はせず、終わるときはまた明日は何をするところからスタートかを考えて終わっていました。

これは意志のある仕事でも同じで、納期がはっきりしている、または出来る限り早く終わらせるべき、という状況において誰に命令されるでもなく内発的に無駄を省きはじめてしまいます。

意志は生産性を上げる、ということです。

となるとマネージャーの存在しないアトラエにおいて大事なのは、どうすれば意志をより強くできるのか、意志がなくなるのを防げるのか、ということになってきます。

ここで次に大事になってくるのが、コミュニケーションです。

 

2. マネジメントにどのようにコミュニケーションが関わってくるのか?

(この見出しで書くとあたかも一般的にはマネジメントにコミュニケーションは要らないと思われているとでも言いたいかのように見えますが、前後の見出しと表現を合わせているだけで、そのような意味合いはありません…!)

アトラエの社員にはみんな各々の意志があるという話をしましたが、もちろんもっと強い意志に昇華させたり、時には失いそうになる意志を保つことも必要になります。

そこで大事になってくるのはまず「それぞれがどんな意志を持っているのか」を知ることです。

アトラエらしい人しか採用していないとはいえ、なんだかんだでアトラエ社員の価値観はそれぞれ異なりますし、誰が何を為したくてここにいるのか?どんなことを大事にしているのか?はちゃんとコミュニケーションを取らないとわかりません。

日頃からちゃんとコミュニケーションを取り相手の意志を把握したり、逆にどのようなことをする時に意志が損なわれるのかもしっかりと把握することが、いざというときに意志を高める役に立ちます。

またアトラエ社員は基本的に意志が強すぎるが故に、時には衝突することもあります。

こんなときもコミュニケーションを通して相手のバックボーンを推し量り、自分に見えていないものが相手には見えていること、相手にも絶対に成し遂げたいことがあることを知り、互いの意志を尊重しあえるような落とし所を見つけないといけません。

これは社員間のトラブルを防ぐという当たり前な話だけでなく、意志を大事にするマネジメントという観点でも、コミュニケーションが重要ということになります。

意志を作り出すのはとてつもなく難しいことですが、意志をへし折るのは意外と簡単だったりします。

だからこそ、コミュニケーションにおいて自分の発言が相手の意志を毀損していないか?または相手に合わせて自分の意志を毀損していないか?には留意する必要が大いにあります。

 

3. マネジメントにどのように夢が関わってくるのか?

「意志」と「コミュニケーション」でなんとなくマネージャーが居なくても上手く仕事は回っていきそうに見えるかもしれませんが、実はその2つよりもまず先に「夢」の存在が大事だと思っています。

少し話は変わりますが、良い・悪いは個人の主観であるがゆえに、ある個人にとっての「最高の仕事」は他人にとっては「何の意味もない仕事」に見えることもあり得ます。

こんな認識の違いが横行し、全く認識が噛み合っていない状態、相手を信じられない状態でチームとして良いアウトプットなど出せるはずがありません。

そもそもアトラエにおいては個人の意志を大事にする必要があるのであれば、この状況は意志を損なう負のスパイラルにほかなりません。

役職のある会社においては強い権限をもったマネージャーの基準によって良い仕事とは何かを決め、それをこなしてもらうことでなんとか出来る(ように見える)ところではありますが、アトラエではそれは成立しません。

となると価値観を統一することで良い・悪いのずれを無くし、個人の思う「最高の仕事」が誰から見ても「最高の仕事」と思えるようにすればよさそうだ、という話になりますが、もちろん価値観の統一なんてことは不可能です。

ここで大事になってくるのが、(ようやく本題ですが)「みんなが同じ夢を本気で見ているかどうか」です。

同じ夢を見ていると、短い時間でも自然と仲間だという認識が生まれてきます。

その仲間が良いと思ってやっていることは、たとえ自分には理解できないことであったとしても、きっと良いことなのだろうと相手を信じることができるようになります。

更に、どうしても理解できない場合でも、夢という同じ方向性を持った上で議論ができ、その差を埋めることができるようになります。

そもそも、同じ夢を掲げていると誰かの良いと思っていることが自分には理解できないという状況が、圧倒的に生まれにくくもなります。

夢は僕らに信じる力、わかりあう力をくれる、ということです。

また、当然の話として、夢は意志を高めてくれます。

そもそもの話、意志は持とうと思って持てるものではありません。

親が子供にどんなに勉強してほしいと思っても、子供にその気がなければ中々勉強しようという意志は芽生えないですよね。

それと同じで、仕事をする意志もそんな簡単に作ることはできません。

ただアトラエでは採用を大事にしているので、同じ夢を見られる仲間が集まっています。

後はみんなでより具体的な夢を掲げていくことで新たな意志が芽生える上に、元からある意志も更に強くなっていきます。

意志のところでも話しましたが、夢があるとより強い意志が生まれることでより強いエネルギーも生まれますし、無駄を省こうという動きも、最早絶対に省きたいというくらいの勢いで発生します。

ここまで来ると、いよいよマネージャーが居なくても臨機応変に動き、良いアウトプットを良いタイミングで出せるようになっていきます。

もっというと、最早マネジメントは経験豊富なスペシャリストだけがやれることではなく、新卒で一番下っ端という状態でもやれる、ということも言えるかと思います。

4. 役割がやることを決めるのではなく、やるべきこと・やりたいことが役割を生む

ここまでの話によって、アトラエにはマネジメントは存在しないんだろうなぁというようにも見えますが、実際にはそんなことはありません。

役職としては存在しないだけで、役割としてはあったほうがいい、という話は普通に生まれます。

ただこれも最早、意志が勝手に生み出してくれます。

僕らの夢を叶える上でもマネージャーが必要だと思った人が、その意志でもってマネジメントを行うだけです。

これはマネージャーに限った話ではなく、ありとあらゆる役割において言える普遍的な話、本質論です。

役割からやることを考えるのではなく、夢と意志がやるべきこととやりたいことを勝手に作り出してくれて、コミュニケーションを経てそれが役割になるので、最早思考停止にはなりようがありませんし、全ての仕事が意味のあるものになります。

役割が決まっていることで自分のやるべきことが明確になり迷いがなくなるというメリットはもちろんありますが、それ故に超えられない壁や限界もあると思います。が、アトラエはそれを超えられていると思っています。

これから会社の規模が大きくなっていく中でマネージャーが居ないことによる難しさなどは間違いなく出てくるかと思っていますが、夢と意志とコミュニケーションで、その壁も越えていけると信じています。

現時点で見えているこの3つの要素では実は足りず、見落としているなにかもあるかもしれませんが、また何か見つかった場合は記事を書こうと思います。

(実は、「共通言語」辺りは大事な要素に入れてもいいかなと思っていましたが、あまりにも長くなりすぎるのでやめました(笑))

さて、長くなりましたがこの方法論の良し悪しは全てが終わってみないとわかりません。が、少なくとも僕はこのあり方は間違いなく働く僕らを幸せにしてくれていると確信しています。

みんなの夢があって、みんなが意志が持てて、最高の仲間と仕事ができるこの状況が、幸せでないわけがありません。

以上になります。こんな長い記事をわざわざ読んでくださった方にとって、少しでも何か持ち帰れるものがあれば嬉しいです。

また、このような考え方の人間のいるアトラエで一緒に働きたいと思った方は、是非弊社HPや弊社の運営するサービス「Green」を通してお声がけ頂ければと思います!